FAQ , Q&A
Q&A 項目リスト
1.プレビームの概要について
2.プレビームの構造について
3.プレビームの設計について
4.プレビームの施工について
5.その他
Q&A 集のダウンロード
1.プレビームの概要について
Q1-1:プレビームとは? また、その製作方法は?
Q1-2:プレビーム振興会とは?
プレビーム振興会は、プレビーム発展のため昭和46年に発足しました。
プレビーム振興会の組織、およびメンバーは以下の通りです。
会員
- (株)IHI インフラ建設
- (株)安部日鋼工業
- 川田建設(株)
- 川田工業(株)
- 極東興和(株)
- コーアツ工業(株)
- 昭和コンクリート工業(株)
- ドーピー建設工業(株)
- 日本高圧コンクリート(株)
- (株)日本ピーエス
- ピーエス・コンストラクション(株)
- 東日本コンクリート(株)
- (株)富士ピー・エス
賛助会員
- 協立エンジ(株)
- (株)駒井ハルテック
Q1-3:プレビーム合成桁は、どのような構造ですか? また、その材料は?
Q1-4:プレビームの施工実績は?
日本国内でのプレビームは、1968年に最初のプレビーム単純合成桁道路橋「玉津橋」が大阪市に完成して以来、道路橋、鉄道橋、建築梁に適用され、新しい試みとして分割工法や連続桁を開発してきました。これまでの統計では、プレビーム単純合成桁の場合、適用支間は20 ~ 40mクラスのものが施工総数の約4/5を占め、また桁高/支間長比は1/20 ~ 1/35のものが全体の約8割となっています。近年の年間施工実績では、連続桁が半数以上を占めており、河川改修に伴う架け替えや跨線橋等での連続桁の実績が多くなっています。支間長別および桁高/支間長比別の実績を下図に示します。
(※)施工実績は「施工実績データベース検索」でご確認いただけます。
また、実績集は「書籍一覧、施工実績集」のページからダウンロードできます。
Q1-5:プレビーム合成桁の特徴は何ですか?
1. 桁高を低くできる
● 桁剛性が大きく活荷重たわみが小さいので、桁高に制限を受ける場合に有利です。
2. 線形に優れている
● 道路の線形に応じた変断面・バチ形等の構造が容易にできます。
● 鋼桁が埋め込まれているので、拡幅の処理や道路縦断に合わせた変断面桁への適用が容易です。
3. 低騒音である
● 十分な剛性とある程度の質量があるため、振動による騒音の発生も少ないです。
4. 塗装の必要がない
● 桁全体がコンクリートで覆われているので塗装の必要がなく、維持管理費の低減が図れます。
5. 作業ヤードがない場合も対応
● 分割工法によれば、架設地点に応力導入ヤードがない場合も対応できます。
6. 架設が容易である
● 1本当たりの架設時の重量がPC桁の1/2程度であり、かつ架設時の桁重心が低く取扱いが簡単
であり施工が容易です。
7. 連続化が可能
● 連続桁への適用により、より経済化が図れます。
Q1-6:プレビーム連続合成桁の特徴は?実績は?
特徴
1. 単純桁と比較して同支間・同桁高であれば、径間部のモーメントが小さくなるので、
主桁本数が少なくでき、経済的なプレビームを計画できます。
2. 総工事費は単純桁の80% ~ 90%になります。
3. 走行性・耐震性に優れます。
4. 単純桁と同桁高であれば、支間を増大できます。
5. 単純桁と同支間であれば、桁高を低くできます。
6. モーメントバランスを考慮した支間割に調整することにより、
更に経済的な計画が可能です。
実績
プレビーム連続合成桁は、2017年3月末現在で256橋の実績があります。
※上部工工事費は、20万円/m2 前後で施工した事例も多数あります。
設計条件によって、工事費が大きく変動します。
プレビーム設計計画に関するお問い合わせフォームからご連絡いただければ、
概算工事費や可能桁高の検討を行います。
Q1-7:鋼板ウェブ仕様のプレビームとは?
鋼板ウェブ仕様とは主桁のウェブコンクリートを省略した構造です。利点として、輸送・架設重量の削減、および下部工に対する死荷重反力の低減を可能とし、コストを縮減できます。なお、鋼板ウェブが外部に露出するため、適切な防錆処理を施す必要があります。
※防錆仕様は、「2.プレビームの構造 Q2-4」参照
Q1-8:分割工法は、どのような工法ですか?
2.プレビームの構造について
Q2-1:プレビームの支承および落橋防止構造は?
Q2-2:伸縮装置のタイプに制約はありますか?
Q2-4:鋼板ウェブ仕様の防錆仕様は?シール材の仕様は?
Q2-7:下フランジのジベルタイプの使い分けは?
Q2-8:プレビーム合成桁に使用する鋼桁の最大板厚は?
Q2-9:分割工法の下フランジコンクリートブロック端部のひずみ差対策は?
Q2-10:連結部の下フランジコンクリートのスタッドバーと高力ボルトが干渉する部分の対応方法は?
3.プレビームの設計について
Q3-1:プレビーム桁の標準的な形状は?
Q3-2:路面の勾配形状に合わせて床版面を折るなどの対応は可能か?
Q3-3:プレビーム桁の桁配置計画は?注意点は?
Q3-4:プレビームの桁高と支間の関係は?最小桁高は?
Q3-5:プレビーム連続合成桁の基本的な考え方は?
プレビーム連続合成桁の考え方は、下図のように、死荷重による作用曲げモーメントの変曲点において、径間部と中間支点部の2つの領域に分けて考えます。
・径間部
死荷重モーメントが正となる区間であり、構造特性が単純桁とほぼ同様と考えられるため、通常のプレビーム桁を用います。
・中間支点部
死荷重モーメントが負となる区間であり、下フランジコンクリートには、作用荷重により圧縮力が作用するので、プレストレスを導入する必要はありません。
・連結部
径間部と中間支点部を連結させる区間であり、連結位置は死荷重モーメントがわずかに負となる位置に設けられます。このために、連結部の下フランジコンクリートには床版自重以降の死荷重によって圧縮力が生じるのでプレストレスを導入する必要はありません。
Q3-6:プレビーム桁の移動量の考え方は?
プレビーム合成桁橋は、鋼桁の要素とPC桁の要素があり、移動量の設定方法が統一されていなかったため、物件ごとに異なるケースがありました。そのため、下記の設定方針をプレビーム振興会では標準としています。
1.温度移動量の考え方について
○線膨張係数
合成桁であるため 12x10-6/℃ とする。
○温度変化範囲
温度変化範囲は、余裕を考慮し「鋼橋(上路橋)」を標準とする。
ただし、腹板の仕様に応じて、温度範囲を下記としても良い。
・コンクリート被覆仕様
「コンクリート橋の温度範囲」 -5 ~ +35℃(普通の地方)40℃変化 移動量=0.48L
・鋼板ウェブ仕様
「鋼橋(上路橋)の温度範囲」 -10 ~ +40℃(普通の地方)50℃変化 移動量=0.6L
2.クリープ・乾燥収縮による移動量の考え方について
鋼桁が内部に合成されているため、桁軸方向の変位は微小で無視できる程度であり、クリープ・乾燥収縮による桁軸方向の移動量は考慮しない。ただし、クリープ・乾燥収縮に伴うたわみ変化については考慮する必要がある。
3.伸縮量簡易算定式について
鋼桁と床版の合成作用を考慮する構造であるため、道示の解説の伸縮量簡易算定式は「鋼橋」を標準とします。線膨張係数やクリープ・乾燥収縮が異なる「RC橋」「PC橋」の簡易算定式は使用しない。上記の腹板仕様の温度変化範囲を考慮し、簡易算定式の温度変化による伸縮量を変更することも可能です。
Q3-7:支承照査に用いる活荷重の回転角の適用は鋼桁かコンクリート橋か?
Q3-8:添架物により横桁を切欠く場合の注意点は?
Q3-9:枝桁の取付構造、および、その解析方法は?
Q3-10:3径間以上の連続桁において中間支点の支承が固定の場合の不静定力の取り扱いは?
プレビーム合成桁におけるクリープ・乾燥収縮によるひずみ変化は鋼桁が拘束するため、桁軸方向の変位は発生せず、たわみ方向の変位(曲げモーメント)として作用します。
連続桁の場合、不静定力は支点反力として算出されます。多点固定の場合、クリープ・乾燥収縮による軸力の影響はありません。ただし、温度変化による軸力が発生するため、別途、温度変化の解析を行い断面力を算出する必要があります。
Q3-11:桁端部の床版設計時の活荷重は2倍とするのか?
Q3-12:埋設型枠(KKフォーム・アーチフォーム)は、設計断面に考慮できるのか?
埋設型枠(アーチフォーム)は、輪荷重走行試験により、アーチフォームをRC床版の有効断面に含めても、押抜きせん断耐力・疲労耐久性などの構造耐久性に関して問題ないことが確認されています。また塩分浸漬試験により、コンクリートと同等以上の耐塩害性が確認されています。
アーチフォームはコンクリートと一体化しており、コンクリートにひび割れが発生した場合、アーチフォーム面のひび割れとして確認できます。
設計計算上は、アーチフォームの構造を考慮して下記のように取り扱うことも可能です。
1.床版の設計について
・アーチフォームは、床版の有効断面に含める。
・設計上のRC床版厚は、アーチフォームを含めた床版全厚とする。
・床版下面のかぶりは、アーチフォーム下面(外面)から鉄筋下面までとする。
ただし、アーチフォームとの純あきを15mm以上確保すること。
・アーチフォームの目地部は、シリコンシーリングを施す。
2.主桁の設計計算について
・アーチフォームは、主桁の有効断面に含めない。
これは、安全余裕を考慮し、目地部における圧縮応力の伝達を無視するためである。
・合成桁設計上のコンクリート上フランジ厚は、アーチフォームを控除した
「床版全厚 - アーチフォーム平均厚 20mm」とする。
3.横桁の設計計算について
・KKフォームは、横桁の有効断面に含めない。
横桁の側型枠にアーチフォームを使用した場合、目地部はせん断抵抗の断面厚に考慮できないため、
KKフォーム厚を有効断面に含めない。
4.プレビームの施工について
Q4-2:単純プレビーム合成桁橋の工程は?
Q4-3:連続プレビーム合成桁橋の工程は?
Q4-5:分割工法の場合の桁連結部の局部プレストレスの導入方法は?
Q4-6:プレビーム桁の架設は、 どのような工法が一般的ですか?
1.部材ごとのトラッククレーンベント工法
桁下の使用が可能な場合に採用され、通常最も経済的となる架設工法です。工場で製作した部材を現地に輸送し、この桁をトラッククレーンにてベント上に架設し、各部材を連結します。
2. トラッククレーンによる一括架設
長時間にわたり桁下の使用ができず、短時間での架設が要求される場合や河川内にベントを設置できないときに採用される架設工法です。工場から搬入した部材を地組みにより1本物にした後、大型のトラッククレーンにて一括架設します。
3. 架設桁架設
河川上などで桁下の使用が困難な場合に採用される工法です。工場から搬入した部材をトラッククレーンにて架設桁上に仮置きし、連結した後、門構あるいはトラッククレーン等にて横取り架設します。
Q4-7:連続桁施工時の支保工の必要性は?
Q4-8:桁架設後の床版横桁工に必要な足場空間高は?
Q4-9:プレビーム合成桁橋の標準的なコンクリート配合は?
プレビーム桁に使用するコンクリートは、充填性を考慮してスランプ18cm程度以上とするのが良い。下フランジコンクリートの配合設計は、可能な限り単位セメント量を減少させ、W/C(水セメント比)も小さくするため高性能AE減水剤を使用するのが良い。セメントの種類は、施工条件に応じて普通(N)もしくは早強(H)が用いられる。
ウエブコンクリート部は、乾燥収縮によるひび割れが生じ易いため、乾燥収縮低減剤や膨張材等を使用し、収縮によるひび割れに配慮する必要がある。W/C(水セメント比)を小さくするため30N/mm2が一般的に使用されている。
分割工法における現場での連結部コンクリート部には、膨張コンクリートの使用を標準とする。
下記に標準的な配合例を示します。
5.その他
Q5-1:プレビーム桁の積算方法は?
近年では、分割工法が標準となっており、工場にてプレビーム桁が製作されるため、製品費として見積り調査扱いとなるのが一般的です。現場応力工法にて施工される場合は国土交通省の「土木工事標準積算基準書」に積算歩掛が設定されています。
現場架設以降の施工歩掛も、「土木工事標準積算基準書」に積算歩掛が設定されています。
Q5-2:プレビーム合成桁橋の詳細設計歩掛は?
プレビーム合成桁橋の詳細設計に関する設計歩掛は設定されておらず、下記の対応の実績があります。
①見積り調査
②鋼・合成鈑桁橋相当と仮定して、鋼・合成鋼鈑桁橋の歩掛を採用
③PCポストテンションT桁橋相当と仮定して、PCポストテンションT桁橋の歩掛を採用
④PCポストテンションT桁橋の歩掛に鋼・合成鈑桁橋の歩掛を補正して合算
プレビームの構造は、合成鈑桁にプレストレスされた下フランジコンクリートを合成させた構造です。
主桁の構造形状は、ほぼ合成鈑桁相当となっており上記②として設定される事例があります。
また、積算上の分類がPC橋であるため、上記③として設定される場合があります。
上記④は必要な構造設計項目を考慮して算出したケースであり内訳を下記に示します。
Q5-3:プレビーム桁の計算プログラムは?
プレビーム桁の応力計算順序は「プレビーム合成げた橋設計施工指針」の付録に詳細式が紹介されています。
プレビーム詳細設計プログラムの概要およびダウンロードはこちら
Q5-4:プレビーム合成桁橋の概略工費、概略設計は?
プレビーム合成桁橋の工費は、主桁高、主桁形状により、大きく変化します。そのため、概略設計にて、概略工費を算出しています。概略設計は、プレビーム設計計画に関するお問い合わせフォームより、設計条件をお問い合わせいただければ無料で対応しています。